何よりも大切なことが2つあると考えられます。それは、「正しい知識を得ること」と「信頼できる支援者を見つけること」です。
医療機関で診断を受けた後、障害や療育について本やインターネットで色々お調べになられたと思います。しかし、「結局、何が正しいのだろう?」と感じられたのではないでしょうか?
最近は、すばらしい書籍やインターネットサイトが数多くあります。力のある臨床家の著書やホームページもそうですし、当事者の方が立ち上げたブログの中でも参考になる取り組みが紹介されていることがあります。
一方、これは絶対に参考にしない方がよいという情報(療育法)もあります。例えば、学術研究においてこれまで一切効果が確かめられたことがない療育法、一個人のエピソード(成功談)ばかりを強調している療育法などには特に注意が必要です。
知識をもたずに療育を始めると、効果の上がらない方法に時間や費用を費やしてしまったり、最悪の場合、お子さんの健康を害してしまうことすらあります。
適切な知識や具体的な取り組みについてアドバイスをしてくれるのが専門家です。
もし、周りに専門家がいるならば「うちの子どもに必要なことは何でしょうか?」とストレートに聞いてください。これはなかなか難しい質問ですが、抽象的な話ばかりでお茶を濁すような答えしか出てこない場合は、この時点で不合格です。『専門家』が言うことが正しいとは限りません。持っている知識や疑問をぶつけて、返ってくる言葉や相手の表情をよく吟味してください。
“この人の説明はきちんと筋が通っているし納得できる。実際に取り組んだところ、確かに私たちの生活が良くなっている”
このように感じさせてくれる専門家を探しましょう。
当相談室では、「行動分析学」の考え方を積極的に取り入れています。
行動分析学では、人間(動物)の行動には様々な法則があると考えています。例えば、どうすれば行動が増えるのか、逆に減っていくのかなど、様々な実験や研究を通じてその法則を明らかにしてきました。
その法則は、子育て、スポーツ、教育、経営マネジメント、医療、動物との付き合い方など、生活の中の色々な場面で“応用”されています。行動分析学を応用して問題の解決を目指すので、応用行動分析学と呼ばれています。Applied Behavior Analysis の頭文字を3つ取ってABA(エービーエー)とも呼ばれています。
※よくある誤解ですが、「ABA」イコール「自閉症の療育プログラム」ではありません。
お子さんの行動や環境を分析する、具体的な手立てを考えて実行する、効果を確かめ必要に応じてより良い方法を考える。行動分析学の知見をふまえて支援を提供することが当相談室の療育です。
子どもが普段生活している環境の中で療育支援を行うことがもっとも有効と考えるからです。
とりわけ、知的障害を伴う自閉症の子どもは、ある場所で身に付けたことを他の場所でも応用するということが難しいです。面接室で練習したことを家でも行いたいという場合でも、健常児に比べてより一層ハードルが高くなります。そのため、普段過ごす場所で、普段から使っているものを用いて課題や練習を行う方がより効果的な場合が多いです。
ホームワークや記録の取り方についてご提案する場合においてもメリットがあります。例えば「ここでこのようにやってください」「これを使って記録してください」のような具体的な支援が可能となります。お子さんの普段の生活が見えていることにより、支援の幅を広げることが期待されます。
スーパーで買い物をする、公園の遊具で遊べるようになるなど、生活圏でのスキル獲得を目指すことも視野に入れることができます。
もっとも多い相談が「言葉」に関するものです。
これについては、年齢や発達段階、障害のタイプによっても対応が異なります。全く無発語の場合、オウム返しが中心の場合、現時点での意思表示の方法、物に対する要求の強さなど、お子さんの状態をよく観察しながら対応方法を考えていきます。
言葉やコミュニケーションの発達を阻害している要因も検討しなければなりません。現在の生活パターンや親御さんの関わり方を変えていただく必要があるかもしれません。
実際にお会いしてお子様の状態を確認しない限り具体的なアドバイスは難しいですが、大まかには“発語やコミュケーションを促進するための練習を行うこと”と、“発語やコミュニケーションの発達を阻害している要因を取り除くこと”が重要と考えます。
「クライエントにスタンダードな療育を提供することができる」ということではないかと考えています。
いわば当たり前なことなのですが、この“当たり前”こそが、療育支援を求めている方が中々得られにくいサービスではないでしょうか。
心理職という立場の人間が兼ね備えるべき“当たり前・スタンダード”の一例として、次のようなものが挙がります。
・心理学の基礎知識が大学・大学院レベルで習得されている。
・大学院の段階から、実習や研究での取り組みについて専門の教官から指導(スーパービジョン)を受けている。
・療育で必要となる理論や技法を理解し、それを目の前のクライエントに対して適用することができる。
・児童精神科領域においてどのように診断がなされているか理解している。
・心理発達検査について適切な実施と解釈が可能であり、検査の限界も踏まえた上で、専門家以外にも分かりやすい説明が可能である。
・障害児に対する行政・福祉サービス(例えば、療育手帳や児童発達支援事業 等)がどのようなものか理解している。
私自身、大学院時代から児童のセラピーを中心に取り組み、指導を受けてきました。
研究のテーマも代表的な心理検査についてであり、研究論文の執筆や学会発表を行いました。
大学院在学中から総合病院の精神科に勤務し、医師の下、精神疾患や発達障害等の症例を多く経験しました。
療育機関においては、行動分析学の知見に基づいて療育相談を行ってきました。
これらは療育支援を行う心理職にとっては、文字通り“当たり前”な知識や経験です。決して特別なものではありません。
しかし、このような人材がまだまだ少なく、一般の方に支援が届いていないという現状があると考えられます。
“千葉の中で標準的な療育支援をお届けする”
飾らない表現ですが、これが当相談室のセールスポイントです。
これは「ケースバイケース」です。
例えば、トイレトレーニングに関するご相談の場合、実際の指導としては数回のことが多いと考えられます。“友達に手が出てしまう”というご相談の場合、現場を訪問しての行動観察と先生との面談を行い、具体的な対策を講じます。その後、月1回程度状況を確認しながら半年程度で経過を追うという流れが考えられます。
一方、知的障害を伴う自閉症のお子さんに対する指導においては、低年齢から始めて数年程度は密に指導を継続し、就学後もフォローしていくという場合もあるでしょう。
このように、お子さんの状態やご家族のニーズは全く異なります。金銭面のご負担も考慮し、頻度や期間は相談の上決定します。
以下にいくつか例を挙げます。
・自閉症のお子さんに対し、相手の動きに注目する力を身に付けるための“まねっこ遊び(模倣)”を行います。
⇒模倣は、言葉や生活動作の獲得における“基礎中の基礎”であるため、療育初期では特に重視しています。
・かんしゃくが激しいお子さんに対し、声のかけ方、タイミング、かんしゃくが起こる前の状況設定について親御さんに解説・指導します。
⇒まずは「泣く」「大きな声を出す」などの行動が、どのようなメカニズムで起きているか理解することから始めます。さらに、そこで理解したことをふまえ、その他の場面でも適切な対応ができるようになることを目指します。
・トイレトレーニングについて、事前に準備するもの、記録の取り方、トイレ環境の設定などについて指導します。
⇒トイレトレーニングについては、なるべく短期集中的に行います。また、夜尿(おねしょ)についても対応できます。
・偏食の指導を行います。
⇒食べさせ方や食事の出し方などを実際に見ていただきます。食事の記録も取っていただき、指導方法が適切かどうか確認します。
これらは、指導のごく一例です。発達・行動面に関する心配なことがありましたらご相談ください。
はい、可能です。
訪問に際しては、あらかじめ担当の先生に許可をとっていただきます。また、事前に簡単な記録をとる、動画を撮っておくなどの準備をお願いする場合もあります。可能な限りお子さんの様子を見させていただき、その後、担当の先生と面接を行い、具体的な対応方法を話し合います。
目安、千葉市中心部から車で1時間の範囲内とさせていただいております。それ以上の距離の場合は応相談となりますが、2時間程度を要する場合は原則お断りさせていただきます。
相談料以外で料金が発生するものとして、「交通費」「電話相談料金」「検査用紙代」等が挙げられます。料金体系についてはこちらをご覧ください。また、ご家庭で使う分の療育教材(ひらがなカードなど)を作成した場合、関係機関に向けて資料や文章を作成する場合などは、それに係る費用をご負担いただきます。
メールや電話が相談の中心となることはありません。
メールについては、相談の受付、必要な情報の確認、事前連絡の手段とさせていただきます。メールカウンセリングのようなサービスは行っていません。
電話相談については、訪問による支援を行っている方への補助的なサポートの手段と考えています。例えば、次回の相談までにかなり間が空いてしまう場合、幼稚園訪問前に先生との打ち合わせをする場合、などが考えられます。
いいえ。障害の有無や程度ではなく、お子さんの行動上に関するご相談であればお受けすることができます。発達検査の数値だけでお受けするかどうか判断することもありません。
発達(言葉)の遅れを心配されて問い合わせいただくことが多いですが、その一方で偏食やトイレトレーニングに関する相談、「駅のホームを泣いて嫌がるのですが、何とかならないでしょうか?」といった相談をお受けしたこともあります。
このようなことは相談の対象になりますか?」といったお問い合わせもお待ちしております。